寂しい夫婦生活。慰めてくれたのは役員会で出会った人でした。

役員に選出

息子が保育園に通っていた頃、保護者会の役員に選出されてしまいました。
年長クラスのときのことだったので、卒業旅行や文集、謝恩会の企画などやることがたくさんあってすごく大変でしたが、役員はほとんどワーキングマザーだし、子育てについてなど、共通する話題も多く、意外と楽しく役員を務めることができました。
年長クラスの役員は私を含めて5人。その中にAさんはいました。保護者会唯一の男性で保護者会の会長さんです。
Aさんは背が高く、イケメンのスポーツマン。女ばかりの中で、気遣いができる気さくな人でした。
役員からの信頼も厚く、なかには熱を上げてしまい、アタックをかける人もいたようです。

縮まる距離

私は仕事も育児も忙しい日々で、はじめはAさんのことは、頼りになるとは思っていましたが、男性としては全く意識していませんでした。
けれど、年長クラスは仕事も多く、集まることも多かったので、次第に距離は縮まっていきました。
保育園にとって一大イベントである夏祭が終わったあと、年長クラスだけで打ち上げをやろうということになり、駅前の居酒屋で飲むことに。
息子を夫にまかせての久々の飲み会でした。
働くママばかりなので、なかなか飲み会に参加できないということもあって、みんな羽目を外して、お酒も進みました。
そのとき、酔っていたこともあったのでしょう、Aさんは奥さんに対しての不満を漏らしていました。
Aさんの奥さんは、送り迎えの時に何度か見かけたことがありますが、モデルさんのようにスラリとしていてとても綺麗な人です。
美男美女の夫婦で、とてもお似合いだと思っていたのですが、Aさんは夫婦仲は冷え切っていると言いました。

二人きりの帰り道

飲み会がお開きになった後、私とAさんは方向が同じだったので、一緒に帰ることになりました。
田舎なので人の気配もありません。なんとなく会話に困って、私もつい、自分の悩みや不満をAさんに漏らしてしまいました。
実は夫とは息子を産んでからずっとセックスレス。
妊娠中に15キロも太ってしまったので、夫は私のことを女として見れなくなってしまったのだと思います。
その後、職場復帰してから10キロほど減りましたが、まだ妊娠前の体型とはほど遠く、女としての自信をすっかり失っていました。
二人目が欲しい気持ちもありますが、なかなか言い出せずにいます。
夫はもともと淡泊な人なので今のままで良いと思っているのか、特に怪しいそぶりも見えませんが、もしかしたら浮気でもしているのかもしれません。
Aさんから奥さんへの不満を聞いていたこともあって、そんな悩みを話してしまいました。
Aさんは真剣な様子で聞いてくれたのですが、話し終わった頃には、こんな打ち明け話をしてしまったことが急に恥ずかしくなり、ちょうど分岐点に来たので、「では、おつかれさまでした」といって立ち去ろうとしたところ、ぎゅっと手を握られ、抱きしめられました。

ついに一線をこえてしまう

その日の夜。今までグループLINEしかしたことがなかったAさんから、個別にLINEが届いたのです。
『今度、ふたりで飲みませんか?』
ドキドキしながらOKの返事をして一週間後に会う約束をしました。
個室のある居酒屋で二人きりで。
夫には保護者会の集まりと嘘をつきました。
そんなしょっちゅうあるの? と不満そうでしたが、とくに疑われた様子はありません。
会話は弾み、楽しい時間を過ごすことができました。そして帰り道。またひとけのない道を二人で手をつないで歩き、別れ際にはキスをしました。
まるで学生時代に戻ったようにドキドキしました。
そのときは、あまり夜遅くになるわけにはいかなかったので、一線は越えませんでしたが、秋祭りの買出しに二人で行くことになり、Aさんが車をだしてくれました。ホームセンターでの買出しの後、ドライブをしました。そして、知り合いがいないようなところまで移動し、ついにホテルへいってしまいました。

罪悪感もありましたが、それよりも、楽しい気持ちやときめく気持ちが強く、まだ自分のことを女として見てくれるAさんに強く惹かれていきました。
その後も、保護者会の用事があると夫に言って月に数回、Aさんとホテルにいく日々が続きました。

卒園と自然消滅

子供が卒園すると、自然とお互いに連絡を取り合うことはしなくなりました。
あれほど強く惹かれていたのに、卒園式の後には、まるで波が引くように気持ちがなくなっていたことに、私自身も驚きました。
今思えば、べつにAさんのことが好きだったわけではなく、寂しい気持ちを埋めたかっただけだったのだと思います。
卒園すれば会う口実もなくなるし、リスクをおかしてまで続けるような関係ではなかったのです。それはきっとAさんにとっても同じでしょう。

子供が同じ小学校なので、参観日に会うこともありますが、お互い、軽く会釈をするだけです。
あのままずるずると続いていたら、いつかバレたかもしれないし、子供を傷つけるようなことになったかもしれないので、これで良かったです。
今では、良い思い出になっています。