初めての同窓会
40代になるまで、同窓会というのもに興味もなくて、出席したことはなかったのですが、子供たちも手を離れたし、夫も自分の趣味で忙しい。
要するに、とても暇だったのです。ほんの暇つぶしのつもりで参加した同窓会で、まさかこんなことになるなんて、思いもしませんでした。
ホテルで行われた中学の同窓会。そんなに大きな中学校ではなかったので、参加人数もそんなに多くなく、ゆったりと楽しむことができました。
当たり前ですけど、みんなおじさんおばさんになっていましたね。
モテモテだったA子がものすごく太ってたり、クラスの中でも地味でいじめられてたSくんが大手企業の偉いさんになっていたり。
同窓会って面白いんですね。こんなことなら、もっと早くに参加すれば良かったな、と思いました。
わいわいと楽しく盛り上がっていたところへ、遅れて現れたのは、中学の時、バスケ部のエースだったYくん。私の初恋の人です。
初恋の人
当時は付き合うとか、そんなところまではいかなくて、一緒に帰るのが精いっぱい。
ほとんど会話もなくて、別れ際に「また明日ね」と言って手を振るだけで心臓が爆発しそうになっていました。
部活のない日はいつも一緒に帰ろうと誘ってくれていたので、Yくんも私のことが少しは好きだったんでしょうね。
高校は別々になってしまったので、会うのは30年ぶりでした。
当時に比べたら、もちろんおじさんにはなっていましたが、Yくんはお洒落でかっこよくて、すごくステキでした。しかも、2年前に離婚して、今はフリーだとか。
独身の同級生も何人かいたので、Yくんはあっという間に、囲まれてしまっていましたね。
なかにはキャリアウーマンで美人の独身女性もいましたが、Yくんが声をかけてきたのは私でした。
「変わってないね」なんて言われて、お世辞だとは分かっていても、すごくうれしかったです。
それから、Yとは連絡先を交換しました。LINEでのやり取りがこんなに楽しいなんて。
今の若い子が羨ましくなりました。
逢瀬を重ねる
夫との仲は悪くはありませんが、夫は自分の趣味にいそがしく、夫婦二人で過ごす時間はほとんどありません。
最近は子供たちももう自分の世界を持つようになってしまったので、家族でどこかに行くようなことも、滅多になくなっていました。
私は、パート勤務なので時間もあるし、Yも自由気ままな一人暮らしということで、時間が合わせやすく、二人で映画に行ったり、買い物に行ったり、楽しい時間をすごしていました。
中学の時にはまともに話すこともできなかったのに。人生って不思議なものですね。
Yは高級車に乗っていて、ドライブにも連れて行ってくれました。
一緒にいると楽しいし、いい歳してドキドキと心臓もうるさく感じてしまうほどでしたが、それでも、私はしばらくは踏みとどまっていました。
夫はともかくとして、子供たちを裏切ることに抵抗がありました。
しかし、下の子がようど反抗期で、こちらもストレスがたまっていたこともあり、海へドライブに行ったときに、ホテルに誘われ、つい、誘いに応じてしまいました。
Yは同じ年とは思えないほど、若々しくて、私はいつのまにかすっかり夢中になってしまいました。
彼の浮気
その後も、何度もデートを重ね、いつのまにか2年の月日が過ぎていました。
その間も夫に不倫を疑われるようなことはなく、私たちの関係はとても安定したものになっていました。
しかし、Yには私以外にも女性がいることがわかったのです。
相手は、夜の仕事をしている若い女性でした。
Yはキャバクラが大好きなので、そこで出会ったのでしょう。
はじめは嫉妬でおかしくなりそうでしたが、ここで取り乱しては、Yが離れて行ってしまうような気がしたので、精いっぱいの虚勢を張って、何でもないようなふりをしていました。
独身貴族のYはとてもモテるようで、何人もの若い女の影が見えますが、それでも、若くもない私に連絡をくれます。
だから浮気を問い詰めたりはしていません。そんな寛容さを心地よくおもってくれたのか、Yは私との関係を続けています。
いつかの二人
もしこの先、私たちの関係が家族にばれたとして、Yが私のことを受け止めてくれるというのなら、すべてを捨ててYのところへ飛び込む覚悟はできています。
Yがどういうつもりでいるのかはわかりませんが、こんなに長く続いている女性は私くらいです(前の奥さんとも半年で離婚してしまったとか)。
私が彼の浮気に寛容だからというのももちろんあるのでしょうか、それ以上にきっとYにとっても私は、忘れがたい初恋の相手なのでしょう。
Yの私を見つめる視線は、中学のころから変わっていません。
あの頃、お互いにもっと勇気を出していれば、不倫なんて道に踏み込まず、夫婦として歩んでいたかもしれませんね。